会田誠 『MONUMENT FOR NOTHING』

MONUMENT FOR NOTHING
東京都現代美術館にて発見。
私が寡聞に過ぎないのかもしれないが、会田誠の活動は殆ど世間に知られていない気がする。それ以前に私が雑誌か何かで知り得た情報は、無精髭を生やした二枚目の絵描きが巨大化した科学特捜隊の女性隊員の春画をやけに精緻に描いているという程度であった。
その「巨大フジ隊員VSキングギドラ」という絵は会田誠出世作なのだそうだが、集大成的な編纂の本作を立ち読みした限りでは、卑猥さは序の口といったところ。精緻さは彼のタッチの一面でしかなく、子供の落書き風から二次創作漫画風まで変幻自在の作風を見せている。つまるところ、マスメディアが取り扱うには彼の全貌は余りにもアナーキーでフリーキー。ゆえに氷山の一角を指差してあれが会田誠だと言わざるをえないのだろう。それにしても例えばオタク的文脈における村上隆の持ち上げ方に比べると、会田誠への反応はいかにもそっけない。私だって会田誠ルイ・ヴィトンのコラボレーションが絶対にありえないことには薄々感づいてはいるが、この処遇の差には疑問を感じる。
ともあれ、私は5040円の対価を支払ってでも極めてエログロナンセンスなこの画集を手元に置きたいと考えるのである。